当社はアンカー工をはじめ各種ボーリング事業で長年にわたり培ってきた経験と技術を生かし、新たに地中熱利用システム事業に取り組んでいきたいと考えております。熟練の技術者による確かな技術と作業時間の短縮により、低単価・高品質の工事を追及してまいりますので、ボアホール掘削の見積もりや相談につきまして、地中熱ヒートポンプメーカー様・設計会社様・設備会社様・各関係者様からのご連絡をお待ちしております。
ご相談・お見積り、お気軽にお問い合わせください。
地中熱利用
地中熱とは地表からおおよそ地下200mまでの地中にある熱のことをいいます。この内、深さ10m以深の地中温度は季節を問わず、年間を通じてほぼ一定で、その地域の年間平均気温より1~2℃高い程度に保たれています。この安定した熱エネルギー(再生可能エネルギー)を地中から取り出し、冷暖房や給湯、融雪などに利用することを地中熱利用と呼んでいます。
四季のある日本では、冬と夏に地上と地中との間で10℃から15℃もの温度差が生じています。つまり、温度が一定である地中は冬には温かく夏は冷たい。地中熱の利用ではこの温度差に着目して、効率的に熱エネルギーの利用を行っています。
地中熱の利用方法は、ヒートポンプシステム・空気循環・熱伝導・水循環・ヒートパイプの5つに分類することができます。ここでは最も一般的なヒートポンプを介して地中熱の熱源を利用する地中熱ヒートポンプシステムを紹介します。様々な地中熱利用形態については、地中熱利用促進協会のホームページに詳細が分かり易く記載していますので、詳しくはこちらをご覧ください。
地中熱ヒートポンプ Geothermal heat pump
ヒートポンプは熱を温度の低い所から高いところに汲み上げ、 その熱を利用するための装置です。使った電気エネルギーよりも多く の熱エネルギーを取り出すことができます。一般に普及しているエアコンは、空気を熱源としたヒートポンプです。夏の冷房では、家の中の熱を奪い取り、外の空気に逃がし ます。逆に冬の暖房では、外の空気から熱を奪い取り、家の中に放出します。
これに対して、地中熱ヒートポンプは、地中や地下水、河川水等を熱源としたヒートポンプシステムです。空気と違って、地中の温度は年間を通して大きな変化がありません。そこで、夏の冷房では外の空気より低い温度の地中に熱を放出し、冬の暖房では外の空気より暖かい地中から熱を取り出すことができます。
地中熱利用ヒートポンプには、地中等に設置した熱交換器を用いて間接的に熱利用するClosed型(地中熱交換型)と地下水等を汲み上げて熱源として利用するOpen型(地下水利用型)とがありますが、国内では地中熱利用といえば垂直型熱交換器を用いたClosed型が一般的です。このclosed型には水平型と垂直型があり、水平型は地中1~2mまで溝を掘り、そこに樹脂管を蛇行またはコイル状に埋設するもので、垂直型は直径120~200mm、深さ30~150mくらいのボアホールにUチューブと呼ばれる先端がU字に加工された樹脂管(一般には25A高密度ポリエチレン管)を1本ないし2本挿入して熱交換器とするものが代表的となっています。敷地面積の広いアメリカなどでは水平型が多く採用されていますが、面積が限定される日本国内では垂直型が普及しています。
出典:環境省
Who wants ?
- 冷暖房、給湯などの光熱費を削減したい。
- 駐車場などに効率的・経済的な融雪設備を設置したい。
- 灯油価格の高騰が不安なので、灯油ボイラーから新しい給湯設備を検討している。
- 環境に配慮したエコな冷暖房設備を使用したい。
What for ?
一般住宅から大型施設まで、ありとあらゆる施設の冷暖房・給湯・融雪等に利用可能。
地中熱ヒートポンプの国内普及状況
日本国内では地中熱の普及に企業がNPO法人地中熱利用促進協会の前身にあたる団体をつくった2001年頃から、設置施設数の伸びが見られるようになっており、2015年度末までに地中熱ヒートポンプシステムを導入した施設件数は累計で2,230件となっております。このように近年普及が進んでいる背景には、環境負荷が小さく確実に省エネが達成できる技術であること、国の補助金制度も整いつつあり、設置費用が下がっていることなどが考えられます。地中熱ヒートポンプの導入箇所は、全2,230件のうち住宅が991件(44.4%)と最も多く、次いで事務所、庁舎等、店舗の順となっています。地域別でみると、北海道が598件と最も多く、本州では、秋田県、東京都、岩手県、長野県、青森県、新潟県等で導入件数が多くなっています。
出典:環境省
出典:環境省
地中熱ヒートポンプ設置のメリット
♦ 節電・省エネによる電気代・燃料代の削減
一般的な油焚ボイラーによる暖房や給湯、融雪に比べ50~80%、空気熱源による冷暖房に比べ20~40%の節電・省エネによる電気代・燃料代の削減が期待できます。したがって、従来の1/2~1/3程度の光熱費で済むことになります。
右の図はオフィスビルにおいて地中熱ヒートポンプに切替えた際のランニングコストの試算例です。
出典:環境省
♦ 節電・省エネによるCo2排出の抑制
消費電力の削減は、電力使用によるCo2排出の削減にも繋がります。油焚ボイラーに比べ60~70%、空気熱源ヒートポンプに比べ20~30%のCo2排出の削減が見込まれます。
右の図はオフィスビルにおいて地中熱ヒートポンプに切替えた際のランニングコストの試算例です。
出典:環境省
♦ 排熱を大気中に放出しないヒートアイランド現象の緩和
空気熱源のヒートポンプは冷暖房時の熱を大気中に放熱する為、都市部で問題となっているヒートアイランド現象の一因となっています。一方、地中熱ヒートポンプは地中で熱交換を行い、外部へ排熱しないので、今後の普及がヒートアイランド現象の緩和に寄与します。
出典:環境省
メリット advantages
- 日本中ほぼ全域で、いつでも利用可能。
- 節電、省エネとCO2 排出量の抑制。
- 地中熱交換器は密閉式なので,環境汚染の心配がない。
- 大気中への排熱不要により、ヒートアイランド現象の緩和に寄与。
- 長寿命でメンテナンス費を最小限に抑えられる。
デメリット disadvantages
- 工事・設置にかかるイニシャルコスト(初期費用)が高額。
- 使用できるヒートポンプメーカーが限定される。
- 計画と設計方法が複雑な為、信頼できる業者を選択する必要がある。
- 細かな、また急速な温度調節が難しい。
上記のように、地中熱ヒートポンプ導入のメリットとしては、環境負荷が小さく、他の熱源方式に比べて極めてメンテナンスフリーでり、同時に低いランニングコストが期待できるシステムだということです。対して、一番の課題は高額な導入コストにあると思われます。しかし、設置する施設や工事の規模にもよりますが、十年から十数年で初期費用を回収できるシステムとなっています。また、地中熱ヒートポンプ導入の際に国ならびに都道府県、市区町村の補助金・融資制度がありますので、合わせてご活用ください。
ボアホール掘削 Borehole drilling
特殊土木工業では、地中から熱を採熱する熱交換器を地中に埋め込む際に必要なボアホールと呼ばれる垂直孔を掘削する工事を行っています。ボアホール用に地中に孔を掘削するのは、さく井、温泉掘削、地質調査などで一般的に行われるボーリング工事よって行われます。ボーリングにより掘削した直径120~200mm、深さ30~150m程度のボアホールに、Uチューブと呼ばれる先端がU字に加工された樹脂管(一般には25A高密度ポリエチレン管)を1本ないし2本挿入して熱交換器とし、地上に設置したヒートポンプに連結させるのが一般的です。アンカー工をはじめ各種ボーリング事業で長年にわたり培ってきた経験と技術を生かし、熟練の技術者による確かな技術と作業時間の短縮により、低単価・高品質の工事を実現します。
出典:環境省
国内の地中熱利用例
出典:環境省
海外の地中熱利用システム普及状況
地中熱利用ヒートポンプシステムは、欧米では1980年代から普及し始め、米国ではすでに100万台以上が利用されています。欧米諸国や中国では、国のエネルギー政策で地中熱が取り上げられ、助成制度がありますが、日本では平成22年にエネルギー基本計画に書き込まれるまでは、エネルギー政策で認知されていませんでした。平成23年度からは経産省の補助金が使えるようになり、これからの普及が期待されています。
アメリカ合衆国
地中熱利用は1950年代のアメリカ合衆国で、主に住宅用として普及が進められた。また、産業用でもアラスカ州の永久凍土の上に敷設された石油パイプラインの土台を維持するための装置として利用されている。こうした実績が積み重なり、アメリカ全土では既に60万台以上が利用されている。
スイス
スイスの暖房は地中熱ヒートポンプが一般的であり、国内には地熱ゾンデ(地中熱交換器)が5万か所以上設置されている。これは一定の面積内の設置数としては世界最多であり、世界記録として公式に認められている。
出典:地中熱利用促進協会